けれどそんな淡い希望は、一週間前にあっけなく崩された。

 僕さえも寝た振りをしていたという事実に、どうやら妹は気付かなかったみたいだ。

 僕だって気付いていたさ。

 肉体を分かてば、僕の命はもたないのだと話す、あの三人のヒソヒソ話を。

 だから僕は君に全てを語ることに決めたんだ。

 同じように君は僕の全てを求めた。

 さすが双子だと感じた瞬間だったよ。

 僕達の希望は一致した。

 一週間、君は聞き逃さないよう僕の瞳をじっと見詰めてくれたね。

 でも明日の手術を目前にして、まだ話しそびれていた宇宙の話を思い出したんだ。

 だから僕は今から君を目覚めさせる。

 さて……どうやって起こせばいい?

 そうだ……君の好きなあの唄を歌うよ。

 翌檜を人に譬えたあの童謡。



 ~ ──・・・明日は、なろう── ~



 ほら。やっぱり君は目を覚ましてくれた。

氷ノ樹(ひのき)……起きているの?」

 お次に君は、きっとこうもお願いするよね?

「ね、氷ノ樹。この間途中になってしまった宇宙のお話の続きを聞かせて?」

 君もあの物語が、僕からの最後のプレゼントだと気付いていたから──。