身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


 焼け焦げたような胸は、今やっとかさぶたになって剝がれてきた気がする。ただ、今でも愛する人の姿や声、触れられた手の感触を思い出すと、傷跡が疼いて少し痛い。

 私が子供を産んだことは、信頼できる友人と職場の人にしか明かしていない。つつましく暮らし、父たちにも口止めしているので、明河商事でも特に噂にはなっていないようだ。

 昴には、パパは遠くにいて会えないのだと言っているから、いずれ本当のことを教えなければいけない。それも心苦しいけれど、パパのことは大好きだと伝え続けるつもりだ。

 ──嘉月さん。あなたがいなくても、この子は元気に逞しく育っている。私も、毎日大変だけどそれなりに楽しく暮らしているよ。

 だけどいつか、いつかまた奇跡が起こるなら、私とこの子を思いっきり抱きしめてほしいな。