ひとしきり愛し合ったあとのベッドの中、心地よい気だるさを抱いて身体を横たえる。私は彼の腕枕でまどろみながら、たわいない話をするその時間が好きだった。


『嘉月さんって子供好きですよね』
『まあ、人並みに。どうして?』
『ヱモリで男の子が転んで、助けてあげたことがあったでしょ。あの時すぐにわかりました。すごく優しい顔をしてたから』
『そう?』


 恋に落ちたであろう瞬間を思い出して言うと、彼は自覚がないのか少しだけ目を丸くしていた。そして、愛しそうな表情で私の髪を撫でる。


『都との子供ができたら、俺はもっと優しくなれる気がする』
『今も十分優しいですよ』


 宝物が増えた未来を思い描いて目を細める私を見つめていた彼は、ふいに真顔になって視線を逸らす。


『いや……そんなことはない。一瞬、かなり不純なことを考えたから』
『不純って?』
『内緒。言ったら絶対引かれる』
『えー? 大丈夫だから教えて』


 そんなやり取りを何度か繰り返したあと、嘉月さんは渋々といった感じでため息を吐き出した。

 その顔がまた険しくなっていたので、しつこくて怒らせてしまったかと反省したのもつかの間、彼は上体を起こして私を再び組み敷く。