明日はちょうど嘉月さんと朝陽さんを交えて、三人で夕飯を食べる予定なのだ。嘉月さんいわく『朝陽が都に会ってみたいって言うし、俺も紹介したいから』とのことで計画してくれた。
私も朝陽さんに会いたかったので楽しみにしているが、彼らに対していい感情を抱いていないであろうお母様には絶対に内緒だ。
少々罪悪感を抱いていると、彼女はふっと苦笑を漏らす。
「そう、残念。急に提案した私がいけないわね。ごめんなさい」
「いえ、とんでもないです! 都合が合ったらぜひお食事させてください」
私は慌てて首を横に振り、素直に答えた。これから青來家の一員になる身としても親睦を深めたいから。
すると、お母様は小銭を渡す前に私をじっと見つめる。彼女の顔から笑みは消えていて、妙に改まった様子で口を開く。
「ねえ、都さん。ひとつだけ約束してくださる?」
なんだろうと思いつつ「はい」と返事をした直後、彼女の表情がすっと冷たいものに変化した。
「浮気や不倫は、絶対にしないでね」
ぞくりとするほどの低い声色で言われ、私はごくりと息を呑む。彼女は小銭を握らせた私の手を両手で包み、「もし疑わしいところを見つけたら、それなりの対処をさせてもらうから」と続けた。



