彼にほっぺをくっつけ、澄んだ瞳で私たちを見ていた昴が言う。
「ママとパパのおはなし、ききたい」
キョトンとする私たち。もしかしたら、嘉月さんの記憶がない頃の話を私が彼によく聞かせているから、昴も興味があるのかもしれない。
私は含み笑いして、普段はしないネイルを施した手で柔らかなほっぺに触れる。
「じゃあ、パパも知らないパパのお話をしてあげよっか」
「なにそれー」
「変なことじゃないだろうな」
やや眉をひそめる嘉月さんにクスクス笑っていると、彼は考えを巡らせるように目線をさ迷わせる。
「俺は、どれだけママのことが好きかって話ならいくらでもできるけど」
「いいよー!」
「それは私も聞きたい」
昴に続いて期待を込めて見上げる私に、彼は得意げに口角を上げ、「帰ったらたっぷり聞かせてやる」と囁いた。
──ステンドグラスが美しい教会で、厳かな挙式が始まる。
指輪を運んでくる昴となっちゃん。ふたりを温かく見守る私たちや参列者を、美しい光が照らしている。万華鏡のようなそれの中で、最愛の人と目を合わせて微笑んだ。
お腹にいるこの子にも、いつか話してあげよう。この瞬間のように色とりどりに輝く、私たち家族の愛しい日々を。
*。*゚End*。*゚



