しかも何十回も操作しなければならない難易度の高いものなのに、難なく動かしていく。どうなっているのかさっぱりわからなくて、まるで手品みたいだ。
私はただ呆然と眺め、数分で最後の蓋に到達した。ゆっくりスライドさせるのをドキドキしながら見守っていると、中からさらに小さな白い箱が顔を覗かせる。
形や大きさからして正体はなんとなくわかり、私は息を呑む。ためらいがちに開けさせてもらうと、予想した通りの美しく輝くダイヤが現れた。
「えっ、やっぱり指輪? 綺麗……!」
まさか高価なものが入っているとは思わず、とにかく驚く。ただ、問題は誰が入れたのかだ。
「こんなに素敵なもの、一体誰が──」
「思い出した」
ぽつりと呟かれたひと言に反応して隣を向くと、嘉月さんが目を開いてじっと指輪を見つめている。
「俺が隠しておいたんだ。三年前、君の誕生日に驚かせたくて」
嘘……これは、私へのプレゼント?
事故が起こった日の三日後は私の誕生日だった。当時はそれどころじゃなくて、すっかり忘れていたが。



