身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


 それからは父や姉も交えて和やかに話をして、図らずも顔合わせのような状況になった。

 お母様はやや遠慮がちに昴と遊んでいたけれど、「ばぁば?」と呼ばれると嬉しそうに顔をふにゃっとさせていた。孫のパワーってすごい。

 帰る前に一度ヱモリに寄ると、なんと展示会帰りの人たちでさっそく賑わっていた。その中にはSNSをやっている人も多く、写真を撮らせてくれと言われたらしいので、これからまた口コミで広まるかもしれない。

 マスターたちはてんてこ舞いになっていたけれど、『こんなに繁盛するのは久しぶりだ』と目の輝きを取り戻し、嘉月さんに感謝していた。きっと、もうしばらくは閉店するとは言わないだろう。


『一度離れてしまった人も、ヱモリを好きな気持ちが根本にあるんだから、きっかけさえあればいずれまた通ってくれるようになる。きっと大丈夫だ』


 以前、嘉月さんがそう励ましてくれたが、そのきっかけを彼が作ってくれたのだ。ヱモリが再注目されて、また皆が戻ってきてくれることを願う。

〝一度離れても、好きな気持ちが根本にあれば〟というのは人間関係も似たようなものかもしれないなと、私と彼の人生を重ねて感じた。