「都さん、すまなかった」
謝罪の言葉が発せられ、私はすっと目線を上げる。
「私たちが婚約を白紙にしてくれと頼んだから、身ごもっていたことを言えなかったんだろう。嘉月から子供がいると聞いて、酷いことをしてしまったと思った。謝って済むわけではないが……本当に申し訳ない」
深く頭を下げられ、私は慌てて制する。
「いろいろなことが重なってしまった結果です。誰が悪いわけではありません」
「いいえ」
お母様が間髪を容れずに否定した。厳しい表情にドキリとするも、彼女の声色は暗くて力強さはない。
「あなたを嘉月から引き離したのは私よ。妊娠も、まったく想像していなかったわけではなかったのに……」
これまでと雰囲気が違う彼女の話に、私も嘉月さんも黙って耳を傾ける。
「鈴加さんから、都さんが他の男性と産婦人科へ向かう写真を見せられて、妊娠の可能性もあると考えていた。でも、一緒に映っていたのが霜平の息子だったから、もしも相手が彼だったら許せないっていう気持ちをどうしても捨てられなくて」
抑揚のない調子で語られる内容の中で、嘉月さんはひとつ引っかかったらしく、わずかに眉をひそめる。



