「これは大人も楽しめるおもちゃですね」
「ええ。メッセージを入れてプレゼントするのもいいですし、宝物を入れて誰にも秘密にしておくこともできる。中身はなんでもいいんです。秘密箱は開けるのが大きな楽しみなので」
柔らかな口調で語られるのを聞き、なぜかふと懐かしさを覚えた。
……なんだろう、私も前に似たような話をした気がする。でも漠然とだから、いつ誰と話したのかはわからない。
「中身を見る時は、大切な人と一緒に開けられたら素敵ですね」
そう言って最後にわずかに笑みを見せた彼を、私は不思議な感覚を抱きながら見つめていた。
参加者がちらほら帰り始めた午後三時、私たちも片付けを終えてエプロンを外した。
今日はこの後予定があると事前に言っておいたので、少し早いがこのまま上がらせてもらう。残りの荷物を持ってヱモリに戻る里実さんを見送り、私はひとつ深呼吸をした。
その時、会場の中から青來家の三人がそろって出てきた。緊張しつつそばに歩み寄ると、副社長モードをオフにした嘉月さんが私にいつもの柔らかな笑みを向ける。



