里実さんは感心したように頷く。
「やっぱりお客さんが来るのが一番ってことね」
「うん。いい影響が出るといいな」
期待に胸を膨らませる私たちは、顔を見合わせて笑みを浮かべた。
すると、父がのほほんとした調子で里実さんに尋ねる。
「ところで、青山さんって誰だい?」
「ああ、説明しますね。都ちゃんとの運命の出会いを」
彼女はふふふっと楽しそうに笑い、父と一緒に会場の外へと歩き出す。
名前も知らずに淡い恋心を抱いていたあの頃の話を暴露しようとしているな……と、呆れた笑いをこぼして私もついていこうとした時。
「こちらは、秘密箱を元に作った商品です」
ふと商品の説明を続ける嘉月さんの声が耳に届き、なんとなく足を止めた。振り返ると、彼は様々なサイズの和柄の箱を手にしている。
秘密箱とは伝統工芸品のひとつで、順番通りに一定の操作をしないと開けられない仕組みになっているもの。私も好きで、ヱモリにもインテリアとして飾っているが、何百年も前にこの技術を生み出していたことがすごいなと見るたび思う。
それを参考に作ったというおもちゃについて、参加者の方々が興味深げに嘉月さんと話している。



