最近売り出して話題になっているのが、レトロさを生かしたおもちゃだ。万華鏡や砂時計、黒電話など、昔ながらの雑貨や伝統工芸品からヒントを得て作られている。
伝統を子供にも教えてあげられるし、インテリアとして置いてもおしゃれなデザインなので、子供から大人まで人気なのだそう。
それらを紹介している嘉月さんに目を向ける。ゆるキャラっぽいだるまを手にして語る彼はやはり笑顔がなく、「すごいギャップ……」と参加者のひとりが呟いた。
それにやられた女がここにいますよ……と心の中で返して彼の話に耳を傾ける。
「レトロシリーズを考案したきっかけは、皆様が今お飲みになられているコーヒーを提供しているカフェ、ヱモリのおかげなんです」
突然ヱモリの名前が出てきて、私はピクリと反応した。嘉月さんは相変わらず硬い表情のまま、近くにいた女性と視線を合わせる。
「こちらのコーヒー、以前はマスターが原産地のコロンビアやキリマンジャロへ赴き、マラリアに感染して死ぬ思いをしてまで選び抜いた豆を今も取り寄せているそうですが、お味はいかがですか?」
「お、美味しいです」
真剣すぎて怖い顔で問いかけられ、女性はビクビクしつつ答えた。



