身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


 よくよく注視すると、とあるブースで副社長モードの嘉月さんが参加者を相手に話していて、私は大きく目を見開いた。

 隣には鈴加さんや、社員らしき男性もいるけれど……もしかして、嘉月さん自ら商品の説明をしに来たの? 営業や広報の社員がプレゼンするものだと思っていたのに。

 ぽかんとしているうちに、お母様たちは里実さんからコーヒーを受け取り、「それじゃ、また後で」と言って会場へ向かってしまった。

 里実さんが、ふぅと息をつく。


「なんか私まで緊張しちゃったわ、青山さんママ」
「ですよね。でも今日のお母様からは、あんまり冷たい空気は感じなかったかも」


 人が途切れて手が空くようになってきた私たちは、声をひそめて話し合う。そこへ父がやってきて「都、ちょっと」と呼ばれたので、コーヒーのほうは里実さんに任せて会場に入った。

 たくさんの関係者が思い思いに見て回る中、連れてこられたのは嘉月さんがいるブース。どうやら父は、彼の話を私に聞かせたかったらしい。

 嘉月さんの前にあるテーブルを見ると、セーライが発売しているおもちゃ類がずらりと並べられていた。