身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


 社内展示会に来る外部の人は五十人以上いるらしいが、追加のコーヒーはすぐに取りに行けるし、ポットさえ用意しておけば可能だろうと承諾した。

 マスターも父の頼みならと聞いてくれた感じだが、少なからずヱモリの宣伝になるだろうし、私はちょっぴりわくわくしている。


「これがヱモリの起死回生の一手になりますように」
「なんとかして職を失うのは避けないと」


 エレベーターの階数表示を見上げ、里実さんと共に真面目な顔で頷いた。

 十階に着き、会場となっている一室に向かうと、入り口の前に受付とコーヒーを淹れるためのテーブルが用意されている。

 そこで父が待っており、私たちに気づいて笑顔を見せた。


「都、里実ちゃん。急な頼みだったのに、聞いてくれてありがとうな」
「ちょっとでもヱモリのためになるならやるって」


 わらにもすがりたい気分なのだ、希望が見えそうなことならなんでもする。


「それにしても、よく思いついたね。展示会でポットサービスするなんて」
「ああ、さすがだよ」


 自画自賛?と呆れたのもつかの間、さっそく参加者が訪れたので私たちは慌てて準備を始めた。