車を運転していた三十代くらいの男性もすぐに降りてきて、昴を心配してくれる。すべては私が注意を怠ったせいだ。とにかく謝罪するしかない。

 運転手の彼はとてもいい人で、自分にも小さい子がいるから大変さはよくわかると、怒るどころか共感してくれた。おかげで大きな問題にはならなかったが、私はひたすら頭を下げ続けた。

 嘉月さんは立ち上がり、放り投げた私と彼の荷物を取ってきてくれる。今度は私にくっついて泣く昴を抱きしめ、激しく後悔しながら謝る。


「ごめん、ごめん昴……嘉月さんも。なんで目を離しちゃったんだろう。私のせいでごめんね」


 もう本当に自分が嫌。日々気をつけていたつもりだったのに、あんな危険な目に合わせてしまうなんて。

 酷く落ち込む私の頭を、嘉月さんが包み込むように撫でる。


「気持ちはわかるが、そんなに自分を責めなくていい。都が悪いわけじゃない」
「でも……」
「これからは俺もそばにいるから、昴を見守る目が増える。一緒に気をつけていこう」


 叱ったりせず温かい言葉をかけてくれるものだから、また涙がぽろぽろとこぼれた。このことは教訓として胸に刻んでおこう。