……思い出せるのはそこまでだ。あの後、ふたりはどうなったのだろうか。
「副社長は表情を固くして立ち去りましたが、私はその後、ふたりが仲睦まじく産婦人科へ行くのを見ていました。写真も残っています」
俺の頭の中を覗いているかのごとく鈴加さんが続け、心臓がドクンと重い音を立てて揺れ動く。
産婦人科だって? そこへ行く理由は、女性特有の病気か妊娠関係だろう。どちらにしろ都の身体に関わることで、知っていたらいてもたってもいられなかったはずだ。
朝陽は知っていたのだろうか。一緒に付き添うなんて、まさか……と縁起でもない考えが一瞬よぎるも、必死に掻き消す。
「もしかしたら息子さんの父親は──」
「やめろ」
次の瞬間、自分でも驚くほど冷たい声が自然に出て、鈴加さんの手を振り払っていた。これ以上、惑わされたくない。
「勝手なことを言うな。俺は、都を……」
信じている。朝陽のことも。三年前もそうだった、よな?
当時の自分の心境がどうだったのか、はっきりとは思い出せない。なんとか取り戻せないものかと、顔をしかめて葛藤していた、その時。



