身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


 取引先での打ち合わせから社に戻る途中、ヱモリの近くに来ると、同行していた鈴加さんが寄っていかないかと言った。

 またなにか企んでいないかと疑ってしまうが、都は半日勤務だと言っていたので今はいないはず。単純に喉が渇いているし、特に問題はないだろうと思い承諾した。

 その時スマホが鳴り出したため、鈴加さんに「先に入っていてくれ」と告げて電話に出る。用件を終えて俺も中へ入ると、思わぬ光景を目にした。


「どうして、都と朝陽が……」


 一緒にコーヒーを飲んでいるふたりの姿に驚くも、すぐに考えを巡らせる。

 俺の記憶がない間に、朝陽を紹介してふたりが知り合いになっていた可能性は十分ある。婚約者だったのだから、きっとそうしていたはずだ。

 そこまで考え至った直後、突然頭の中にある映像が流れた。

 ひと組の男女が、道端のベンチに座って親しげに話している。そのふたりは……朝陽と都だ。

 それを皮切りに次々と記憶の断片のようなものが浮かび、処理しきれなくなって額に手を当てる。

 食事をしているようなシーンや、笑い合うふたりの顔。いつどの時のものなのかはっきり繋がらないが、ここ最近ではないのは確かだ。