「……ふざけるのも大概にしろ。都を侮辱するなら、いくらあなたでも許さない」
怒気を強めた低い声で言い放ち、怒りに任せて電話を切った。
スマホを投げつけたくなるくらい腸が煮えくり返るが、なんとか抑えてソファにどかっと腰を下ろす。
都が不貞行為などするはずがない。人を裏切るような子ではないし、なにより俺を愛してくれているのは十分伝わっている。彼女を信じない方が無理だ。
無神経な母へのいら立ちを鎮めるまで、それからしばらくの時間を要した。
* * *
しかし冷静になって、こんなことではダメだと思い直した。母の承諾を得ずとも結婚はできるが、青來家の一員となる都はこれから付き合いづらくなってしまう。なんとか円満に解決しなければ。
『お母様も、私たちを受け入れてくれるかな』と不安そうにしていた彼女を見て、余計にそう思った。父の件があってから母を面倒だと感じて避けるようになっていたが、新たな家族のためにきちんと向き合わなくてはいけない。
気を落ち着かせて、どうすれば母を納得させられるか策を練った。
都が他の男と親密そうにしていただなんて話は、まったくのでたらめだ。それに関してはなにも心配する必要はない。
俺には、その自信があったというのに──。



