『当時、鈴加さんが教えてくれたの。都さんが密会している写真を見せられたわ。嘉月にも伝えようと思っていた矢先にあの事故が起こって、記憶を失くして……だからいっそすべて知られないように黙っていたのよ。嫌なことを知る必要はないでしょう』
なんだそれは。そんな信用性に欠ける情報を信じて、俺に黙っていたというのか。あまりにも呆れた理由に怒りが込み上げるも、なんとか憤りを抑えて冷静に返す。
「そんなの、なにか理由があって会っていただけじゃないのか? 週刊誌のゴシップと同じで、それっぽく見える写真を撮ることだってできるだろ」
『信じられないのなら、鈴加さんから写真を見せてもらって、自分の目で確認して』
力強い口調で言い切る母は、どうやら自信がある様子だ。
しかし、母は父に裏切られた過去のせいで、不貞行為に対して過敏になっている。ただ知り合いと会っていただけなのに、浮気だと思い込んでいる可能性は大きい。
だからここは冷静に受け流せ、と自分に言い聞かせるも、彼女の口からは不躾な言葉が吐き出される。
『都さんの子供が、本当にあなたとの子なのかもしっかり確認した方がいいわ』
その無礼極まりないひと言は到底許容できるものではなく、ぷつりとなにかが切れる感覚を覚えた。



