『私は知っています。あなたの優しいところ、たくさん……』
そう言って泣いた都の心情を思うと、一気に切なくなって胸が酷く痛む。いろいろなものをひとりで背負わせてごめん──そう何度謝ったって足りない。
額に手の甲をこつんと乗せ、やるせないため息を吐き出す。
どうしてこんなに大切な都と過ごした日々だけ忘れてしまうんだ。くだらない過去の記憶ばかり鮮明に覚えているくせに。
俺も離れたくなどなかった。昴くんの成長を最初から見たかったし、喜びや幸せを一緒に分かち合いたかった。
でも時は戻せないから、もう二度と後悔しないように生きていくしかない。これからは絶対にずっとそばにいて、俺がふたりを守っていく。
瞼を閉じると、都の姿が浮かぶ。笑うとこちらまで元気にさせられる可愛い顔も、俺にはできないものの見方をする美しい心も。髪の一本一本から足の爪の先まで、彼女を形作るすべてが愛しい。
大切なものを一度失ったのも、彼女と再び愛し合えたのも運命。人生はいいことばかりではないが、やはり素敵なものだと思う。



