俺が愛した人はやはり都で、しかも昴くんは俺の子だった。昴くんの父親にあれほど嫉妬したというのに、まさか自分だったなんて。
記憶がない俺にとってはファンタジーのような話で、正直あまり現実味はないが、飛び上がりたくなるほど嬉しいのは確かだ。
源さんが言っていた青山という人物は誰なのかと聞くと、都は大笑いして、俺の名前を知らなかった頃のあだ名だと教えてくれた。ヱモリで毎回ブルーマウンテンを頼んでいたのが由来だそうで、納得した俺も笑ってしまった。
見合いの場で現れたお互いに驚き、一緒に喜んだことや、夜桜を見ながら初めてキスをしたこと。都がこのベッドに横たわって懐かしそうに話すのを、俺は彼女の柔らかな髪を撫でながら一言一句逃さずに聞いた。
失った記憶がパズルのピースのようにして埋められていくのは楽しく、心地いい。完成はしないかもしれないが、少しでも空白の部分をなくしていけたらいい。
そういえば病院で記憶を失くしたことを悔やむ俺に、都は『同じ日は来ないけど、同じ記憶を共有した人はきっといるから、大丈夫ですよ』と励ましてくれた。共有した人のひとりは君だったんだな。



