「ごめん、気難しい王子で」
「いや、男はぶれない方がいいよ。うん」
自分を納得させるように言う朝陽くんに笑っていると、彼は腰を上げてちらりと腕時計を見下ろす。
「もし時間があれば、ちょっとここで一緒にお茶しない? お土産渡したいし」
「ありがとう。じゃあ、ちょっとだけ」
今日はマンションに先に上がらせてもらい、嘉月さんの帰りを待つ予定になっている。まだ彼の仕事は終わらない時間だし、私にも積もる話があるので、その提案に乗ることにした。
私たちはコーヒーを頼み、西日が当たりすぎない席に座った。昴は九州限定らしい電車のおもちゃのお土産をもらって、あっさりご機嫌になっている。現金な子だ。
朝陽くんはコーヒーをひと口含み、ひと息ついたところで話を切り出す。
「聞いたよ。かづ兄と再会したんだって?」
「うん。やっぱりもう知ってるよね。偶然会って本当にびっくりしたけど、あの頃となにも変わってなくて安心した」
私を愛する気持ちも変わっていなかった嘉月さんの姿を脳裏によぎらせ、伏し目がちに微笑んだ。そんな私を、朝陽くんはまっすぐ見つめて問いかける。



