身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


 温かな気持ちで満たされていると、彼の手がこちらへ伸びてくる。


「俺たちの子を産んで、ここまで立派に育ててくれてありがとう。都には感謝してもしきれない」


 頭を撫でながらわずかに憂いを帯びた目をして言われ、私は軽く首を横に振った。

「これからがますます楽しみだね」と笑みを向ければ、嘉月さんの表情も柔らかくほころぶ。どちらからともなく顔を寄せ合い、優しいキスをした。

 少し話をした後、昴に寄り添って私も横になるとすぐに眠気が襲ってきて、うとうとしながらもこの先について思いを巡らせる。家族になるには、もうひとつ乗り越えなければいけない壁がある。


「お母様も、私たちを受け入れてくれるかな」


 ぽつりと少しの不安を漏らすと、嘉月さんは真剣な面持ちになって私の手を握った。


「大丈夫、なにがあってももう離さない。都は心配しないで、一緒に暮らす準備をしておいて」


 低く穏やかな声と、大きな手のぬくもりが安心させてくれる。ふっと口元を緩めて頷いた私は、昴と同じように髪を撫でられていつの間にか瞼を閉じていた。