身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


「焦らなくていい。昴にとっては、ついこの間までまったく知らなかった男が家族になるんだ。時間をかけて父親だって認めてもらうから」
「うん。そうだね」


 嘉月さんの言う通り、子供とはいえ複雑な気持ちになっているだろう。いくら実の父親であっても、離れていた時間を埋めて家族になるのは容易ではない。

 嘉月さんに懐いてくれるようになっただけで今は十分。少しずつでいいんだと気をラクにして、彼の肩にこてんと頭を乗せた。

 料理を再開し、出来上がったのは薄焼きの卵で包んだ定番のオムライス。昴が皆のそれにケチャップで顔らしきものを描いて、仲よくいただきますをした。

 昴はもちろん、嘉月さんも何度も美味しいと言ってくれてとっても嬉しい。きっと私が婚約中に作った料理の味も忘れているだろうけど、一緒に暮らしたら毎日作るからね、と心の中で告げる。

 食事中も笑顔が絶えず、お腹も心も満たされた。少し食休みした後は、昴と一緒にお風呂タイム。

 わが家とはまた違う、夜景が見える広々としたお風呂にも昴は大満足したらしい。いつか、昴と嘉月さんがふたりで入る日が来たらいいな。