それに飽きた昴は再び部屋の中を探索し始め、今度はリビングダイニングの壁を指差す。
「あっ、ぼくのえ!」
小さな指の先には、この間あげた肩車の絵が飾られていて、私も笑みがこぼれた。
嘉月さんは昴をひょいっと持ち上げ、抱っこしながら絵を眺める。
「疲れて帰ってきた時に、これを見るとすごく元気になるんだ。ありがとな、昴」
とても優しい眼差しを昴に移す彼は、れっきとした父親の顔になっていた。自然に〝くん〟も取れていて、距離が縮まった感じがして嬉しい。
昴も嘉月さんの首にしっかりと掴まり、彼の目をじっと見てこくりと頷く。
「またかく」
「お、嬉しいな。次はなにを描いてくれる?」
「んとねー。ぴじゃーまん!」
「そうか、それがあった」
ふたりが仲よく話しているだけで、心地いい風みたいに幸せが流れ込んでくる。昴もだんだん嘉月さんに笑顔を向けてくれるようになって、私の心はぽかぽかしていた。
久しぶりに彼のキッチンで私が夕飯を作っている間、ふたりはすべての部屋を見て回って楽しんでいた。その後、昴はリビングのカーペットの上に寝転んで、家から持ってきた道具でお絵描きを始める。



