甘い時間を過ごした後に家族に会うのは、まるで初めて朝帰りをしたような恥ずかしさと背徳感があっていたたまれなかった。うまくいったことを報告すると、姉が目が溶けそうなほどニヤニヤしていたから余計に。

 昴は動物園をとても楽しんだようだ。はしゃぎすぎて疲れたらしくあっという間に寝てしまったので、パパについて話すのは次の日に持ち越すことにした。

 一日開けた今日、寝る前に「大事なお話してもいい?」と聞くと、昴はこくんと頷いた。私たちの部屋のお布団に向かい合って座り、ひと呼吸置いて単刀直入に切り出す。


「ねえ昴、パパに会いたい?」


 昨日買ってもらった大きめのパンダのぬいぐるみを抱っこする彼は、キョトンとして首をかしげる。


「パパ……? とおくの?」
「そう、遠くにいるって言ってたパパ。やっとママと昴に会えるようになったんだよ」


 自然に喜びが込み上げて声が弾む。昴はぱちぱちと瞬きした後、「ふーん」と気のないような返事をしてパンダの手を動かして遊び始めた。

 えっ、反応薄っ。もっと驚くかと思っていたのに、そんな感じ? これまでパパがいないのが普通だったから、会えるようになったと言ってもあまり実感が湧かないのかな。