身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


 昴が意味を理解したかはわからないけれど、私がいなくても我慢しようと思ったらしく、少し悩んだ後に「わかった」と頷いてくれた。

 今の言葉にじんとしたのは一誠さんも同じだったようで、尊敬の眼差しを父に向けている。


「カッコいいです、お義父さん……」
「調子に乗るからやめて」


 すぐさま制したのは姉だ。笑いそうになったものの、彼女は真剣な顔でこちらを見つめてくる。


「しっかり彼を捕まえてくるのよ。記憶は難しくても、あんたたちの関係は取り戻せるんだから」


 姉の心強い声に胸を打たれていると、誠一さんが今度は自分の妻にヒーローを見るような目を向ける。


「カッコいいよ、翠……」
「もっと言って」


 姉が自分に対しての賞賛は貪欲に求めるものだから、皆が噴き出した。

 この家族のおかげで救われたし、きっとこれからも困難を乗り越えられる。とても力をもらった気分で、私は「皆ありがとう」と感謝を告げた。