身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


 むすっとしつつもタッチしてくれたり、肩車を気に入ったらしく、下ろすたび『もっかい』とせがんだり。徐々に気を許してくれて、ばいばいする頃には自分から手を振ってくれるまでになり、とても嬉しかった。

 とにかく、なにをしても可愛い。あの愛想の悪さは俺に似ているな……と思ってしまうくらい。重症だ。

 父親面をしているような自分に呆れていると、朝陽は俺の心境を読み取ったかのごとく難しい顔をして口を開く。


「かづ兄、父親になるつもり?」


 ストレートに問いかけられ、書類をめくる手が止まる。


「その子は、都ちゃ……都さんが、誰かと愛し合って授かった子だよ。子供もちゃんと愛せる?」


 俺も、同じことを何度も自問自答した。自分と血を分けたわけではない子を、本当の子供として愛情を注げるのかと。


「……問題はそれだけじゃない。彼女は今も父親を愛している」


 伏し目がちに言うと、朝陽が切なげに眉を下げた。

 都さんは一歩踏み出そうとしているとはいえ、心にはまだ昴くんの父親がいる。子供を産み、別れてからも想い続けている人だ。その存在はきっと一生消えやしないだろう。