「かづ兄、探し物ってまさか……」
「ああ。会えたんだよ、やっと」
俺はカップを口から離して、ふっと表情を緩めた。
朝陽だけは知っている。俺が名前も知らない女性に想いを寄せていたことを。
「名前は明河都さんというそうだ。俺は明河商事の娘さんじゃないかと思うんだが」
明河商事と取引をしようとしていたことは覚えている。しかし事故の後、目を覚ましてみたらその契約は白紙に戻っていた。
俺が事故に遭った原因が彼らの子会社にあり、そのいざこざでうまくいかなかったのだと伯父から聞いている。
本当に明河商事の社長令嬢だとすると、俺との繋がりがひとつ見つかったと言えるだろう。やはり記憶がない間になにかあったのではないかという漠然とした考えが、少しずつ輪郭を帯びてきている。
「マジか……」
目を丸くしている朝陽は、驚きのため息交じりに呟いた。
「すごいな、よかったじゃん。ていうか、まだ彼女のこと探してたの?」
「積極的に探していたわけじゃないが、ずっと忘れてはいなかったよ。出先で偶然会って、ひと目見た瞬間にわかった」
約三年の月日が経っていても都さんは変わらずとても綺麗で、懐かしさと嬉しさが込み上げた。珍しく気分が高揚していて、こんなに彼女を欲していたのかと自分でも驚いたくらいだ。



