ひと呼吸置いて、嘉月さんは私の真意を探るような瞳を向けてくる。
「君は、今もその彼を愛しているように見える」
図星を突かれてドキリとした。彼とは違って、私は顔に出ていたみたいだ。
「……そうですね」
本人の前でこの気持ちだけは嘘をつきたくなくて、緩やかに口角を上げて認めた。嘉月さんの表情が少し切なげに歪む。
「一緒にいるのは叶わなくなってしまったけど、大事なものをたくさんもらいました。彼と過ごした日々は絶対に忘れられないし、その思い出があれば十分だと思っていたんです。でも……」
私たちは再びめぐり合ってしまった。
嘉月さんを想って、彼がいない分も昴に愛情を注いで生きていこうと決めていたけれど、恋しくて仕方なかった本人が現れてまた距離を縮めようとしている。本当は嬉しくないはずがない。
「こうやって話したり、青來さんと昴が遊んでいるところを見ていると、新しい道に進むのもいいんじゃないかとも思う。それでいいのか、正直わかりませんが」
シャボン玉を割って楽しんでいる息子の姿を眺めながら、複雑な心境を吐露した。



