身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


 まさかの再会から三日が経つが、嘉月さんはまだ店に訪れてはいない。気にしないでいられるわけもなく、毎日そわそわしている。

 あの後、里実さんと話していてわかったことだが、あそこに出店していたカフェのひとつがセーライの人気オンラインゲームとコラボしていたらしい。おそらく嘉月さんは店の様子を見に来ていたんじゃないだろうか。

 彼が私に会おうとする理由は、『都ちゃんになにか伝えたいことがあるんじゃない? 退院してからしばらく来てたくらいだし』と里実さんが言っていたけれど、私もそれくらいしか思いつかない。まあ、本当に来るのかも謎だけど。


「ブルーマウンテン、ひとつください」


 午後一時、エスプレッソマシンを調整している時に注文され、「はい」と返事をしてお客様のほうを振り返る。


「それと、都さんも」


 ドキッとするひと言が付け足されると同時に、ずっと考えていた人の姿がリアルに目に飛び込んできて、私はのけ反りそうになった。

 嘉月さん……本当に来た。こうしてヱモリで会うのも三年ぶりで、懐かしさと愛しさが込み上げる。


「少し話せる?」


〝いらっしゃいませ〟を言うのも忘れて固まっていた私は、優しい口調で問いかけられて自然にこくりと頷いた。