〝すばる〟という星の集まりの名称から名付けたのは、名前に月が入っているパパとの共通点を持たせたかったから。……あなたとの子だという、ささやかな証にしたかったから。
そんな思いを胸に秘める私に、立ち上がった彼はなんの気なしに問いかける。
「今日はご主人と?」
「え!? えーと、しゅ、主人は……」
あからさまにうろたえ、キョロキョロと周りを見回す。適当に〝あの人です!〟と言おうかという考えが一瞬脳裏をよぎるも、当然そんな嘘はよくない。昴もいるのだし。
挙動不審な私を、嘉月さんは怪訝そうに見ている。ここは正直に言うしかないだろう。
「……主人はいません。今日だけじゃなくて、ずっと」
観念して答えると、事情を察したであろう彼の表情が気まずそうに変わる。
「申し訳ない。立ち入ったことを聞いて」
「いえ、いいんです! この子の父親とのことは、なにも後悔していないので」
謝る彼に、私は自然に笑みを向けた。
そう、あなたと別れたのはもちろん切なかったけれど、悲観はしていない。人生最高の恋に落ちたのも、こんなに可愛い息子を授かったのも、全部あなたのおかげだから。



