昴を座らせようと振り返ると、彼は両手で持ったピザーマンをじっと眺めながらゆっくり歩いてくる。
いけない、すぐそばにいると思ったのに! あれじゃ人様の邪魔になってしまう。
私がはっとした瞬間、よそ見していた昴は案の定店の前で立ち止まっていた男性の足にぶつかった。しまったー!と思い、私は慌てて駆け寄る。
「すみませ──」と謝り終わる前に、男性は子供に気づいてすぐに身を屈める。そのビジネスマンらしきスーツ姿の彼の横顔を見て、私は息を呑んだ。
「ごめん、大丈夫?」
昴の腕を優しく掴んで確認する男性の声も、私の思考を停止させる。
う、そ……人違いじゃない、よね。どうしてこんなところで……もう会うことはないと思っていたのに。
「ピザーマン、好きなのか?」
小さな手に抱えられたそれを見て、無愛想なのにどこか温かい声色で問いかける彼。昴は驚いた様子で固まりつつも、こくりと小さく頷く。
「そうか。おじさんはニックマンが好きだった」
三年前と同じやり取り。まさか自分の子供と、あなたがすることになるなんて──。



