身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました


「電池切れるどころか、充電させてもらってますよ。ヱモリも、ここの皆も大好きだから。むしろ自分の時間が持てるからこそ、育児もうまくやれてるような気がする」


 昴とはもちろん一緒にいたいけれど、ずっと家で面倒をみているとどうしてもストレスは溜まるもの。これまで仕事が息抜きになるという感覚はあまりなかったが、出産してから心境も変わったなと思う。


「それに、里実さんと話すのがなによりの癒やしです。リアル乙女ゲー話も聞けるし」
「あら、ありがとう。じゃあさっそく、課金したのにイイ男に出会えなくて爆死した婚活パーティーの話してもいい?」


 またすごい話が聞けそうで、私は声を上げて笑った。

 里実さんは三十路目前にして多少の危機感を覚えたらしく、友達に紹介してもらったり合コンに参加したりと、積極的にパートナー探しをしている。そのエピソードを、まるで乙女ゲームをしているような調子で話すから面白いのだ。

 しかし、婚活をしなくても、里実さんにお似合いの人は身近にいると私は思っている。ヱモリに時々来るお客様で、嘉月さんの次に彼女の観察対象になったイケメンだ。

 里実さんは相変わらず『眺めて妄想するだけでいいの』と言って距離を縮めようとしないのだが、進展したらいいなと勝手に願っている。