彼がコーヒー豆を調達しに行くどころか、店に立つことすらままならなくなってしまったのは切ないけれど、これまでの恩を返すつもりで私がやれることはしたいと思う。
お昼時から午後三時頃にかけてはそれなりに人が来るので、交代で休憩に入る。ヱモリの二階にある休憩室で、私はひとりお弁当を広げた。
昴がお弁当の時はもちろん見栄えよく作るけれど、自分のものは正直なんでもいい。適当に詰めてきた冷凍食品や朝食の残りを口に運び、食べ終える頃に里実さんがやってきた。
私の休憩が終わる前に来たということは、きっと今日も忙しくないんだなと内心ため息をつきつつ、勤務を代わった話をする。
「じゃあ木曜はマスターが病院で、都ちゃんが午前中だけ出ることにしたんだ」
「うん、保育園の総会は午後からだからセーフ。春って行事が多くて忙しいなぁ」
スマホのカレンダーで予定を確認していると、里実さんはサンドイッチをかじって苦笑を浮かべる。
「小さい子がいると本当に大変よね。なのにまた働きに来させちゃってるから、実はちょっと罪悪感があるのよ。都ちゃん電池切れにならないかなって心配」



