來のその一言が、やけに胸に響いた。
暗闇の中、來の表情は読み取れなかったけれど、心の奥にそっと染み込むような言葉だった。
「日にちが分かったら、また教えて。土日、部活が入るかもしれないし」
「うん……ありがとう」
たとえ、友達の前での“夫婦ごっこ”だったとしても、來がちゃんと向き合おうとしてくれている気がした。
でも――本当のことは、まだ聞けていない。
この関係をどうするのか。
わたしたちは、どこへ向かっているのか。
もうすぐ、離婚の約束をした1年が終わる。
だけど今は、來のその言葉に、もう少しだけ希望を持ちたいと思ってしまった。



