夫の一番にはなれない



その言葉に、頭が真っ白になる。

上書き……? 來が言った、今の言葉は――


「な、何言ってるの? ここ学校よ?」

「学校じゃなければいいってことか? 元カレより、忘れられないキスする自信あるけど」


來の顔が近い。

あまりに距離が近くて、息が止まりそうになる。


「來……っ!」


じわじわと迫ってくる彼に、反射的に目をぎゅっと閉じる。


「ファーストキスは、血の味だったの!」


咄嗟に出た言葉が、それだった。


「……は?」


來が一瞬固まり、それから――


「まさか、血……? どういうこと?」

「だって……お互い初心者だったし、勢いつきすぎちゃって、歯が当たって。で、歯ぐきから血が……ってわたし、何言ってるの!?」


恥ずかしくて顔が熱い。

来に話すようなエピソードじゃない。


なのに、來はその場で吹き出した。


「っぷ……ははっ! マジか。なんだよそれ、想像の斜め上すぎて笑うしかないだろ……!」


こらえきれずに肩を震わせて笑う來に、わたしはムッとして唇を尖らせた。