夫の一番にはなれない



そう言って瑠衣さんは頬を赤らめながらも、勇気を出して打ち明けてくれた。


「それから、内藤くんと目を合わせるのも恥ずかしくて、ぎこちなくなっちゃって……奈那子先生も、そうだったりした?」


高校時代を思い出す。

あの初カレと、初めてのキス。正直に言えば、ドキドキなんて生やさしいものでなく――


「うん。緊張するし、しばらくぎこちなくなるのも、すごく分かるよ」


ほんの少し、心の中で「でもわたしの場合は歯がぶつかって血が出たけどね」と笑いそうになりながらも、口には出さずにおいた。


「それならよかった……私だけじゃないんだなって思ったら、少し安心した」


瑠衣さんの表情がふわりとほどける。

その笑顔に、こちらまであたたかな気持ちになる。


この瞬間、思った。

わたし、教師という立場であっても、生徒たちにとってちょっとだけ頼れる“先輩”でいられたらいいな、と。