夫の一番にはなれない



保健室は悩み相談の場でもあるけれど、まさか恋バナが来るとは思っていなかった。


「ちょっと、千絵……そういうの恥ずかしいってば」

「もう、いいじゃん。奈那子先生なら優しく聞いてくれるし、ほら、そうでしょ?」

「もちろん。どんな相談でも大歓迎よ」


すると瑠衣さんが、おそるおそる尋ねてきた。


「先生って、ファーストキスっていつだったんですか……?」


一瞬、動きが止まる。きた、この手の質問。こういうとき、どう答えるのが正解か、今でも悩む。


「高校1年生のときだったかな」


結局、素直に答えてしまうのがわたしらしい。


「えっ、早い!相手ってやっぱ初カレ?」

「ええ、1つ上の先輩でね。見た目はまあまあイケメンだったかな」

「おおー、さすが奈那子先生、やるー!滝川先生もイケメン枠だよね?」

「えっ?」


來がイケメンの部類……?わたしの前で言っているだけじゃないの?と疑ってしまうが、2人の様子は真剣だ。


「でね、先生。キスって、やっぱりすっごいドキドキしますよね?」

「うん、まあ、そりゃあね……」

「瑠衣、この前ね、内藤にキスされたんだけど……もう、どうしていいかわかんなくなっちゃって……」