夫の一番にはなれない



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放課後の保健室に、普段はほとんど顔を見せない女子生徒が2人、そわそわした様子で入ってきた。


「奈那子先生~!ねえ、聞いて聞いて!」


明るく声を弾ませるのは2年生の千絵さん。

その隣で、恥ずかしそうにうつむくのは瑠衣さんだった。


「どうしたの?珍しいね、2人で来るなんて」


2人とも去年、体調不良で一度だけ保健室を利用したことがある程度で、それ以来ほとんど関わりがなかった。


「聞いて!瑠衣にね、ついに初カレができたの!めっちゃ可愛いでしょ?」


ふいに飛び出した報告に、思わず「えっ」と目を丸くする。

保健室に舞い込んできたのは、想像以上に甘酸っぱい話だった。


「ええ、そうなの?瑠衣さんに彼氏?どんな子?」

「えっと……1組の内藤くん……この前、告白されて」


噂で聞いたことがあった。

明るくてクラスでも目立つ存在の内藤くんが、しばらく前から瑠衣さんに猛アタックしていると。

ついに実ったらしい。


「わあ、いいじゃない。おめでとう。初恋が初彼って、青春って感じね」

「でしょでしょ?でね、瑠衣が奈那子先生に相談があるんだって」

「え?わたしに?」