夫の一番にはなれない



避けたい――そう、避けたい。

けど、その未来がすぐそこまで来ていることも、もう痛いほど分かってる。


わたしたちは、契約でつながっているだけの夫婦だ。

約束の一年は、とっくに過ぎている。


「……でも、離婚したくないんだよね?」


早川先生の問いに、私は深く頷いた。


「だったら、きちんと話しなさい。自分に正直になって、今度こそ」


彼女のまっすぐな言葉に、胸が熱くなる。

誰にも言えなかった気持ちを、ほんの少しだけ見透かされた気がして。


「……うん。ちゃんと話してみる」


決意とともに返したその言葉と同時に、保健室のドアが開いた。


「先生、指切っちゃって……」


タイミングよく訪れた生徒の声に、私は深く息をついて立ち上がる。


来と、話さなきゃ。

今度こそ、自分の気持ちに嘘をつかずに。