「わたしって男を見る目ないのよ」
思わず漏れたため息まじりの一言に、保健室の隅で雑務を片付けていた早川先生が眉をひそめた。
「なに、今さらそんなこと言ってるの?」
その軽く突き放すような言葉に、私は思わず苦笑いを返すしかなかった。
「まあ、元カレの時に思い知ったけどね。あの時点でもう答えは出てたか……」
「うん、“浮気ヤロー”だったもんね。あれは本当に最低だった」
そう言って鼻で笑う早川先生の声に、少しだけ気が緩む。
彼女には、望に浮気されたときのことを話してある。
だからこそ、こうして時々、何気なく気にかけてくれるのがありがたかった。
「誠実な人だと思ってたんだけどなあ。わたしも可愛げがなかったのかも」
「可愛げがないのと、浮気されるのは別問題でしょ」
そう言い切る早川先生に、心の中で「ありがとう」と呟く。
けれど――心のどこかでまた、自分を責める声が響く。
「……來も、ああいうタイプの女性が好きなんだよね」
浮かんできたのは、來の元カノの面影だった。
彼女もまた、いかにも“守ってあげたくなる”タイプの女性だった。
わたしとは、まるで対極にいるような存在。



