夫の一番にはなれない



どうして、よりによってこのタイミングなの?


あんなにあたたかい会話ができたのに、

少しずつ距離が縮まった気がしたのに――

まるで、あと少しで手が届くところで、ひゅっと引き離されたようだった。


「バカだ、わたし……」


あのタイミングで言えばよかったんだ。

「夫婦を続けませんか?」って。


あの笑顔を向けてくれていた間に。

お皿を受け取ってくれた、その手のぬくもりがあるうちに。


でも、わたしはまた、タイミングを逃した。


來の優しさは、わたしを“気持ちよく送り出すため”のものだったのかもしれない。

そう思うと、胸がぎゅっと締めつけられる。


でも――それでもまだ、わたしは信じたい。

信じたいって思ってる自分がいる。


だってあの笑顔は――

あの唐揚げを食べる來の顔は、

どうしても「全部、ウソだった」とは思えないから。