夫の一番にはなれない



來の声が玄関から聞こえてきたのは、まだ19時を少し回った頃だった。

思ったよりも早い。


わたしは思わず立ち上がりそうになる足をなんとか抑えて、リビングで「おかえり」と声をかけた。

だけど、緊張が全身に広がって、言葉が少しだけ上ずった。


そんなわたしの様子に、來は不思議そうな顔をしていた。

「体調悪いのか?」なんて、心配までしてくれた。


「こんなにたくさん……大変じゃなかった?」


夕食の食卓を見た來の第一声だった。


「ううん。久しぶりにいろいろ作れて、楽しかったよ」


それは本心だった。

來のために料理を作ることが、こんなに嬉しいなんて――

わたし、自分でも少し驚いている。


「そうか」


來は小さく笑って、箸を取った。


わたしたちが一緒に食事をするのは初めてじゃない。

でも、こうして“わたしの手料理”を囲んで二人で食卓を囲むのは――これが初めてだった。


「ねえ、來……ちょっと聞いてもいい?」


食事中、話題が切れたタイミングでわたしは意を決して口を開いた。