夫の一番にはなれない



ずっとそばにいて、彼女の優しさや強さを知ってしまった。

職場で生徒と接する姿を見て、さらに尊敬するようになった。


だからこそ、自分から踏み込むのが怖くなった。


負担をかけたくなかった。

期待を押しつけたくなかった。

でも、それは全部、自分の弱さだったんだ。


“断られたとき、とてもつらかっただろうから”


奈那子のその言葉が、保健室で刺さった。

俺がしてきたことは、彼女の想いを拒んでいたのかもしれない――と気づいた。


どれだけ優しい人なら、何度断られても微笑んでいられるんだろう。

俺は――それに甘えていたんだ。


だから、ようやく決めた。

今日は、ちゃんと俺の口から、言ってみようと思った。


リビングにいる奈那子に声をかける。


「奈那子」

「ん?」

「今日……疲れてなかったら、奈那子の手料理、食べたい」


目を丸くした彼女の反応に、内心はずっとドキドキしていた。


「え……うん、わかった。作っておくね」


少し照れたように、笑ってくれた。

俺はその笑顔を、きっとずっと待っていたんだと思う。


こんな些細な一言でしか想いを伝えられないけれど、

少しずつでも、ちゃんと向き合っていきたい。


残りの3ヶ月を「終わり」にするのではなく、

「はじまり」にするために――