「ねえ、これってデートのお誘いだと思う?」
考えても答えが出そうにないこの問題に煮詰まったわたしは、とうとう早川先生にポロっと話してしまった。
きっと不思議に思われたかもしれない。
今まで仲良し夫婦として接してきたから、こんなことを聞くなんて何かを感づかれてもおかしくはない。
「なに?奈那子先生、のろけ?夫婦なんだから、普通にお食事デートするでしょ」
「うん、まあ、そうなんだけど」
それは普通の夫婦の場合だ。
やっぱり今の発言は失言だったかもしれない。
早川先生は不思議そうな表情でこちらを見ていた。
「もしかして奈那子先生たちって外食ってあんまりしないの?」
「うん、それもあるんだけど。こんなに前もって誘ってくるなんてことなかったから」
なんとなくそれっぽい答えを返しておく。
相手が來ではなかったら、この逃げ道は通用しなかったかもしれない。
早川先生からしたら、来は一見ぶっきらぼうでわたしには優しい夫という設定なのだから。
「へえ、もしかしたら、この前のアレが結構きいてるんじゃないの?」
「この前の“アレ”?」