「実は、養護教諭の知り合いを探していまして」
「桜丘高校さんでですか?」
「はい。今年度末で2名とも退職されることになっていて、急いで後任を探してるんです」
「2名も……それは大変ですね」
養護教諭は一校一名が基本。桜丘のように2名体制の学校は、そう多くはない。
一人ならまだしも、2人同時にというのは、確かに深刻な問題だろう。
「知り合いに免許を持っている人はいますが、現場に立てる人は……少ないですね」
「それでも構いません。何か情報があれば、本当に助かります」
わたしは頷きながら、名刺を受け取った。
表には学校名と役職、裏には手書きの携帯番号。
一応連絡先は知っておいてほしい、とのことだった。
そんな中、隣の早川先生はというと――
「うんうん、そうなんですね~!」
例の“好みの先生”と意気投合している様子だった。
わたしにだけこっそり「この人ほんとタイプ」と囁いていた彼女。
確かに、柔らかな笑顔と聞き上手な雰囲気は、人を安心させるものがある。



