「あー、えっと、そろそろ物件探した方がいいかと思って」

「……どうして物件なんて」

「だって、もうすぐ約束の1年でしょう?ここは來がローン組んでるんだから、わたしが出ていくのが筋じゃない?」

「…………」


來はそのあと何も言わなかった。

もしかしたら、わたしを追い出すようで心が痛んだのかもしれない。


來は優しいから――



でも、これはわたしたちが結婚をするときに決めた掟の一つ。

1年後には離婚をすること。


わたしはただ、その掟を守るだけだ。

來が今までそうしてきたように。