夫の一番にはなれない



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保健室の窓から、春の日差しが優しく差し込んでいた。

少しずつ暖かくなってきたこの季節、私は少しお腹をかばいながら、ゆっくりと室内の整理をしていた。


医務棚の在庫を数えながらふと顔を上げると、懐かしい笑い声が廊下の奥から聞こえてくる。


「わあ、ほんとにいた!奈那子先生ー!」


最初に姿を現したのは、あいかわらず快活な早苗だった。


続いて、すらりと背が伸びた常盤と、髪の色を落ち着かせた長野が現れる。

最後に、少し遅れて酒井さんが、ほんのりと微笑みながら小さく手を振って入ってきた。


「久しぶり。元気そうだね」


私は椅子に腰掛けながら、自然と笑顔になる。


「先生こそ!なんか、ママの顔になってる~」


早苗が私のお腹をちらりと見て、すぐにいたずらっぽく笑った。


「いやほんと、何か雰囲気変わったっすよね」常盤が目を細めて言うと、

「うん、前より、なんていうか……柔らかい感じ」と酒井さんが続ける。