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この日の昼休み、話が妙にスムーズに進み、保健室でプチ会議を開くことになった。

まさか、こんなにも生徒が協力的になるとは思っていなかった。


「ごめんね、みんな。集まってもらって」

「いや、俺のクラスのことだしな。むしろ助かるよ」


保健室の机を囲んで座っていたのは、わたし、來、早川先生、早苗さん、そして彼女が連れてきた2組の男子2人――長野くんと常盤くんだった。


昼休みが始まるや否や、早苗さんがお弁当を持って保健室に現れた。

教室の空気が合わない時、彼女はよくこうして“保健室ランチ”をする。

今日は何かを察してか、妙にテンションが高い。


「ねえ、早苗さん。酒井さんのことなんだけど」

「酒井っち?最近ずっと学校来てないよね」

「理由、聞いてたりしない?」

「んー、違うクラスになってから、あんまり話さないけど……LINEなら繋がってるよ」


何気ない口調でそう答えながら、彼女は箸を動かす手を止めた。

酒井さんの名前が出たとたんに、少しだけ表情が曇ったように見えたのは気のせいだろうか。


「連絡してもらえる?」

「いいよ。でも酒井っち、あんまり自分のこと話したがらないしなぁ。あ、そうだ。同じクラスの男子から聞いてみようか?」