それはまるで、自分に言い聞かせるような口調だった。

奈那子は少しだけ驚いた顔をしてから、ぎゅっと來の手を握り返した。


「わたしも」


言葉にしたのはそれだけだったけれど。

その一言に、二人の思いは十分に込められていた。


忙しさと責任に追われる日常の中でも。

誰かと手をつなぎ、一緒に笑える時間があるということ。

それが、どれだけ尊くて幸せなことか。


奈那子は來の肩にそっと頭を預け、微かな眠気とともに、深い安らぎに包まれていった。